プロ野球界は激変の年を迎えています。6月13日に明らかになったオリックスと近鉄の合併問題がプロ野球選手会によるストを経て現実のものとなり、ライブドアと楽天によるパリーグの新しい6球団目となる新球団設立の権利獲得競争は、NPB(日本プロ野球組織)による審査が進むにつれて、本拠地予定地とされた仙台を中心に東北各県を巻き込んでいっそうの激しさを増し、両社長による激しいパフォーマンス合戦の様相も呈してきました。
これほどの動きがあったにも関わらず時間の経過は僅か4ヶ月に過ぎません。更に昨日になってダイエーが産業再生機構に支援要請することを決め、球団の身売りの可能性が出てきましたし、西武の堤オーナーが辞任することも明らかになり、今後の球団保有も確実なものではなくなってくるなど、プロ野球界は来シーズン開幕までまだまだ大きな変化を迎える可能性が大きくなっています。
そんな中で4年後の2008年シーズンからのプロ野球参入を目指す新潟アルビレックス(仮称)にとって、アルビサポーターが心配するような問題(資金問題・球場問題・集客問題・サッカーとの両立性)の他に、県民球団として地元密着を掲げるには現在のプロ野球界が更なる変革を遂げねばなりません。
それは、「Unforgettable Days...」さんがまとめられているように、アマチュア規定とドラフト制度の問題です。
このアルビレックスがプロ野球に参入してくるとなると、恐らくはトップのプロチームだけではなく、下部組織としてのリトルリーグなどを組織してくると予想されます。実際、女子サッカーやバスケットボールでもジュニアチームを作っています。 そうなると、まず真っ先にアマチュア規定が気になってきます。少なくとも、高校で野球をやるのであれば、その期間はプロ選手との練習等は禁止ですし、接触そのものも慎重に行わないと問題視されます。選手としての才能を伸ばすための、理論的にもしっかりとしたコーチによる一貫したトレーニングと、アマチュア規定とが天秤に掛けられることになるでしょう。 次に、下部組織から大切に選手を育てて来たとしても、現在の制度では、アルビレックスにそのまま入団することはできません。ドラフト制度があるために、他のチームが獲得していってしまう可能性が大きいです。 地元に密着する形で、地元の選手を育成してきた結果、いざトップチームの選手になろうとしたら他の球団が奪っていく。これでは、総合スポーツクラブとして育成していく意味が失われていきます。
新潟アルビレックスが参入を予定しているのは4年後です。運営会社の設立に関しても3年後ですので、プロ野球界の変革も進むとは思いますが、自らも変革に一石を投じるような行動をとらなければならないでしょう。その上で真の意味で地元密着型の球団運営が出来るのかどうか時間をかけて検討し、可能性によってはチャレンジを続行、あるいは撤退するという判断基準をはっきりさせておくことが必要なのではないでしょうか。
あくまでも新球場建設が目的となった球団ではなく、地元に求められ、期待される球団でなければわざわざ新潟に設立する意義はないものと思います。