クラウス・シュルツェ ジャパン・ライブ2010

昨夜のライブについて。
クラウス・シュルツェ(KLAUS SCHULZE)は1960年代後半から音楽活動を始めたドイツ・ベルリン出身の作曲家でキーボード奏者。電子音楽シンセサイザー演奏のパイオニアとしてTANGERINE DREAMASH RA TENPELの結成に参加。71年からはソロとして音楽活動を続けており、発表したアルバムはライブを含めると100作を超えるのではないかと推定されます。40年以上休むことなく音楽活動を続けてきた巨人です。
今回のライブはありがたいことに主催者からの招待状を頂きました。ライブは20・21日の2日間。演奏する曲目はそれぞれの日によって違うということで2日分の招待状をもらったのですが、仕事の都合で行けたのは21日のライブだけでした。会場は東京フォーラム ホールC。招待状とチケットの交換は開演3時間前の16時からということで、昨日の日記で書いたように新宿のCD専門店で大人買いした後、中央線快速に乗って東京駅で下車し、京葉線への地下道を経由して東京フォーラムへ入りました。本当は有楽町駅で降りるのが一番近いのですが、ライブ終了後に上越新幹線の最終列車に飛び乗る都合があり、地下道で東京駅への移動にどのくらい時間が掛かるか確認が必要だったからです。幸い移動に必要な時間は5分程度ということでライブが予定通り終了すれば問題なく新幹線に間に合いそうなのでホッとしました。チケットを交換してから会場までの時間は、建物内のカフェで本を読んだりウトウトして過ごすことに。開演1時間前の会場を待って入場すると、チケットに指定された席は一階席の後方左手。どうやらそのエリアは招待客専用だったようで、隣りに座った母娘(といっても子供は高校生)はシュルツェの事を全く知らないようでした。暫らくは客席があまり埋まらずに心配しましたが、ロビーにいた観客が開演直前に入場したのか最終的には9割程度の入りになりました。
ライブはほぼ予定時刻どおりの19時過ぎにスタート。ステージに姿をあらわしたシュルツェは64歳という年齢を感じさせる足取りで、巨体も猫背気味、マイクを使った挨拶も好々爺然としたものでした。ステージ上にはシンプルに配置されたキーボード群と背後に制御用の機材の塊がそびえ立ち、3面の縦長のスクリーンには曲に合わせてCG映像が映し出される仕掛け。1曲目の演奏は約40分、彼独特のたゆとうような音の波は変わりませんが、リズムをはっきり刻むパートもありかなり聴きやすい曲目。あっという間に終わった印象で曲目としては印象が薄い感じ。ちょっと休憩には早いような気もしましたが、15分の休憩を挟んでスタートした2曲目の出来が最高でした。大聖堂の映像を背景に荘厳な旋律でスタートした演奏は、アフリカンリズムの力強いビートが刻まれる中、きらびやかな旋律が分厚く重ねられ耳を捉えて離しません。この曲も1曲目と同じく約40分の演奏でしたが充実感が全く違いました。惜しむらくはシュルツェのステージ・パフォーマンスに聴衆向けのアピールが全くなかったこと。彼の手元がキーボード群に隠されて全く見えず、せっかく途中でギターを手に取って演奏したのにもかかわらず、それもキーボード群に隠されていたのですから困ったものです。リズムや旋律をマシンがキッチリと刻んでいく中で、彼が演奏するのが即興的なフレーズになるのでしょうが、人の手による演奏を象徴するかのような不安定さが人間味を感じさせて興味深いものがありました。アンコール曲は約15分。この曲は彼の作品の最大公約数的な内容の曲で安定感がありました。こんな感じでライブは淡々と進行し予定時間の21時を少し過ぎて終了。私はライブの余韻に浸る間もなく東京駅へ地下道を急ぎ、最終の新幹線に飛び乗って新潟に帰ってきました。シュルツェの演奏を直に聴けるチャンスはもうないと思います。本当に貴重なライブを聴かせて頂き、招待してくださった方には感謝の言葉もありません。せめてアンケートはしっかりと書いて提出してこようと考えたのですが、時間にせかされて汚い字で読みにくく内容の薄いアンケートにしかならず申し訳なく思っています。)
Rheingold: Live at the Loreley