今週紹介されたアーティストで知っていたのは、Tangerine DreamとBlue Öyster Cultぐらいです。Tangerine Dreamはドイツのプログレッシブ・ロック・バンドで、シークエンサーの使い方を極めたバンドだと思っているのですが、リーダーで唯一の創設メンバーだったEdgar Froeseが2015年に亡くなってからは、当時のメンバーだった日本人ヴァイオリニストの山根星子、ここでも何度か紹介しているキーボードのUlrich Schnaussが、遺志を引き継いで活動を継続。現在はさらに2人のメンバーを加えて4人で活発な活動を展開しています。2017年に発表された新体制初のアルバムから。新体制の傾向が伺えるサウンドです。
アメリカのバンドBlue Öyster Cultはヘヴィメタルの源流となったグループの一つで1967年の結成です。1979年のアルバムに収録されたこの曲は、派手なギターのリフも、激しいドラミングもありませんが、ストレートなロックは心に沁みます。
そして珍しく日本のアーティストが紹介されました。ワールズ・エンド・ガールフレンド(world's end girlfriend)は前田勝彦によるソロユニットで、その音楽性は多岐に渡ります。2007年のアルバムに収録された13分に及ぶ大曲は、プログレ的な構成力の冴えが感じられます。
アメリカのポストロック・バンドNight Versesの、2018年のアルバムに収録されたこの曲は、ギターとドラムのタイトなメロディー展開が印象的です。
Animals As Leadersもアメリカのインスト・メタル・バンドです。8弦使いのギタリスト2人とドラマーによるメンバー構成で、 一般的なギターよりも重い音で演奏するのと、メタルにフュージョンをミックスしている完全インストバンドであるのが特徴です。
This Patch of Skyも同じくアメリカのインストルメンタル・ポストロック・バンドですがメンバーにチェロ奏者がいるので、シンフォニックで映画音楽的な音の表現が特徴です。
こちらも同じアメリカのポストロック・バンドMaseratiは、2009年のアルバムから。ギター、ベース、ドラムスともにリズム感が心地よいインストルメンタル曲です。
Tigran Hamasyanは現代のジャズ界で、最も注目を集めているアルメニアのピアニストです。民族音楽風味のフレーズと、緩やかに気だるげに歌われるヴォーカルが、実に雰囲気たっぷりです。これは2016年の作品ですが、最新アルバムでは今週紹介したAnimals As Leadersのギタリストとの共演もしています。
セルビア出身のオルタナティヴ・メタル・バンドDestiny Potatoのデビューアルバムから。この曲はパーカッシブなリズムに、アンニュイで気だるげな女性ヴォーカルがかぶさる展開で、メタルっぽさはないがセンスが感じられます。
Saturnusはデンマークのメロディック・ドゥーム・デス・バンドということですが、2006年のアルバムに収録されたこの曲は、ドゥームとデス抜きでひたすらに美しい。
同じくデンマークのトップ・プロデューサーTrentemollerの2016年のアルバム収録曲は、エレクトロ・ハウスと言っても良い音の揺らぎの中に身を置く感じがたまりません。
スウェーデンのヘヴィメタル・バンドTiamat。2枚組のベストアルバムから、アコギの音が沁みるバラード調の曲。ヴォーカルも渋い。
同じくスウェーデンのSkraeckoedlanはメタルとサイケ、そしてブルースロックが混在するというストーナー・ロック・バンド。だからなのかほかの北欧メタルとはかけ離れたイメージの曲を聴かせてくれます。
今週は意外にアメリカのバンドが多い印象でしたが、どこの国のバンドでも、良い曲が聴ければ問題ありません。世界中どこにでも刺激的で興味につきない音が存在します。それが苦労なく聞けるようになったのが、私のような金のない音楽ファンにはありがたいことです。