きらっと新潟(NHK新潟ローカル)に西山茉希

「笑顔に込めたメッセージ〜ファッションモデル」というサブタイトルで地元出身の西山茉希を特集。こんな時は彼女の地元に住んでいる幸運を実感します。番組はインタビューを中心とした構成ですが、CanCamの撮影現場の模様やCM、出演映画の映像なども挿入されています。
インタビューでは
「きれいに見せようというより、何かを感じて欲しい・・・。表情で皆さんに伝えられるものがあったら」「今届けたいものは全力を使って届けたいし、この瞬間を大事にしていきたい」
「(新潟県中越沖地震について)言葉にならないっていったら逃げているように聞こえるかもしれないけれど、何でまた新潟が?って思った気持ちが強かった」「(地震後の撮影でも普段と変わらない笑顔を見せていたが)そんなことが起こっているにもかかわらずよく笑っていられるなって、そういう見方をする人もきっといるだろうなって、どこかで怖くて・・・。じゃあ仕事を休んで何日もボランティアに行けるかといえば行けないし、1日でも休んで行けるかといえば、仕事は仕事でやっぱり私がいなくてはならない仕事だし、だとしたら行けないで語るよりも、私は私のままでしっかりいつもと変わらない笑顔を届けないと・・・。やっぱり私は前を向いて笑っていなきゃって、いつもどおりでいなきゃって思いました」
11月に仕事仲間が開いてくれたサプライズの誕生パーティーでは、嬉し涙でボロボロの彼女の姿をカメラがとらえます。
再びインタビュー。
高校を卒業して目標が定まらず、地元の飲食店でバイトを始めた彼女。
「一般的に言ったらフリーターの状態になる自分がいて、学校で何に興味を持って真剣にやってるわけでなく卒業してしまって、皆が新しい環境で大変と言っている中で、自分だけスタートも切れてないまま、進む道がないまま、なんか感じることもないし・・・。だからそれを苦しいっていうか、何なんだろう自分は、何やってんだろう自分はって・・・。」「あたし今日こういうことがあってねっていう一日一日の思い出というのが全然出来なくて、ダラダラダラダラ毎日が過ぎていて、それが凄い嫌だったんですよね」
その頃の心の支えになった幼なじみの友人(彼女もなかなかの美人)と町並みが見下ろせる丘陵の公園(かつてはアルバイトだけでは埋めきれない時間を過ごしていた)で語らう。
「べちゃくちゃはしゃべらず、なんかお互い自分の中にモヤモヤしているのをボーっとなるっていうか、うじゃうじゃうじゃっていういろんな考えだからスッキリしたくってここに来るって感じ」「はっきり就職に就くわけでもなくて何やってんだろうって・・・。やっぱり、その時は人と較べることしか出来なかったから」
その後東京でモデルにスカウトされた彼女は、地元でのアルバイトを続けながら撮影のある時だけ上京するという小さな一歩を踏み出します。そして数ヵ月後本格的にモデル活動を始めようとした矢先(2004年10月)に新潟県中越地震が起こります。その時、彼女はアルバイトしていた店のレジに立っていました。地震で我を失い、その場で泣きじゃくっていたそうです。
「やっぱり、怖さで一杯だったし、何に対してやめてって言っているか分からないけれども、やめてって叫ぶことしかできてなかったし、冷静さは全くなかったですね」
度重なる余震に彼女の家族は車の中で生活することを強いられます。混乱の中、娘を上京させようと彼女の母は決意します。やっと打ち込めることを見つけ歩み始めた彼女に悔いのない仕事をさせてあげたいという思いからでした。
家族を残して状況なんて出来ないというのが彼女の最初の思いでしたが、被災しながら彼女のことを真っ先に考えてくれる母の言葉に上京を決意します。
「なんで、そんな離そうとするのって、その時は言ったと思うし、私はみんなと居たいんだよって・・・。心配だから近くに居たいし、明日何が起こるか分からないような余震の中で、置いて行くのは嫌だって言ったんだけれど、私の仕事を考えて言ってくれた意見だったし、本当に先を見ていけばそうしなきゃいけないんだろうなって思ったし、そこは本当に最後は背中を押してくれたっていうか、逆に、行きなさいって言われたことが勢いになったのかなあと思いますね」
そして地震から2週間後、彼女はある決意を胸に故郷を後にすることになるのです。それは決して笑顔を絶やさないことでした。笑顔で家族や友人そして故郷を少しでも元気付けたいと思っていたから。
「普段会えなくなった自分が、自分から離れてきてしまった地元の子とか、親とか親戚のみんなとかに今元気でやっているよというその笑顔を、仕事をこなす上で届けられるというところは、すごくこの仕事の幸せなところであって、それが私のやりがいでもあり、だからこそ今日も頑張らなきゃって思える支えでもあり・・・なんじゃないですかね」「常に今を一生懸命生きることによって、振り返ったときに後悔がないようにしたい。進路で悩んだ時期の自分が大きいだけに、本当に一個の仕事として自分が授けられたものっていうか、自分に与えられた場所って思っていて・・・、だから大切にしなきゃって思っているし、今仕事をしている上での辛いことって、あの時に較べたら乗り越えられるんじゃないかなって常に思えてますね」
彼女は新しい試みとしてウェディングドレスのデザインにもチャレンジ。ファッションショーでの彼女のウエディングドレス姿の映像がありがたい。
「読者の皆さんとかファンでいてくれる皆さんとか、直接お話することってなかなか難しくて会う時間もないじゃないですか。その中で私が何を伝えられて何を届けられて残せるかっていったら、やっぱり私が笑うことが皆さんの少しでもパワーになればいいなあって思うし、その笑顔を見てまたみんなが笑顔っていいなって感じてくれる方が、ひとりでも多くいてくれたら嬉しいなあって思いますね」
最後まであまり華やかさとは縁のないインタビューでしたが、モデル西山茉希の原点を知るのには貴重な内容でした。NHK新潟グッジョブです。もちろん永久保存版ですね。