マンガ原稿流出事件

 私が書き込みをしていた2つの関連掲示板の論争も、相手方当事者が自主的撤退をされたため一段落となりました。
その掲示板経由でこの日記を読みにこられる方もいらっしゃるようです。
ここでもう一度、自分の立脚点をはっきりさせるために、今回の事件について整理してみようと思います。

事件のいきさつや現在までの動きに関しては、
羊羹さんの作られた「まんだらけ原稿流出事件:考察」が時系列に沿っていてわかり易いのでご参照ください。
http://homepage3.nifty.com/cyd/diary/200306_mndrk.html
なお、考察部分はあくまでも羊羹さんによるもので、
事件の当事者・関係者・その他に対する私(星海銀)の考え方は以下にまとめます。

さくら出版(あるいは西池社長)について。
 漫画家たちに対する原稿料の不払いについては、裁判で漫画家側の勝訴が確定していますが、裁判で認められた1890万円の支払いは行われていません。裁判以降に発行された分についてもほとんどの原稿料が支払われていなかったことが判明してきています。
また、原稿の流出に関しても西池社長は、雑誌「創」の取材に対してのらりくらりとした答えを返し、暗に債権者がやったのではないかと仄めかしています。この件についてはTBSの取材に対して西池社長の弁護士が「この件については犯罪なので答えられない」と話していますので、原稿流出事件に関しては方法がどうであるかは別にして犯罪であることは確定でしょう。
それにしても、TBSが取材に訪れた西池社長の住まいは、エントランスがオートロックになっている億ションといってもいいようなマンションでしたが、そんな金があったら原稿料をなんとかしろよと言いたくなります。

まんだらけ(古川社長)について
 まんだらけの古川社長によると、漫画原稿を持ち込んだのは同一人物で、5回に分けて持ち込まれたそうです。入手先を聞いたところ、複数の編集者から集めたとの答えが返ってきたそうです。
現在の法律に照らし合わせると、この買取は限りなく灰色ではあるものの、外形的には違法と断定はできないということのようです。古川社長の強気の発言の根拠はここにあり、渡辺やよい先生をはじめとして、まんだらけで原稿を販売されてしまった漫画家たちが悔しい思いをしている部分なのです。
法律的な部分については弁護士などの専門家に任せる他ありません。漫画家たちも守る会を結成して動き始めています。
で、当事者ではない私から見て問題だと思うのは、以前より漫画文化の担い手と自負されている古川社長の行動が、漫画文化を破壊しかねないものであることなのです。
これはまんだらけに限らないことですが、漫画原稿が店頭で販売されるということは、漫画原稿の散逸を意味します。つまり、店頭で不特定多数の購入希望者に身元確認もなしで販売されるわけですから、販売後はその原稿は基本的に行方不明ということになるわけです。
そして、オリジナル原稿がなくなることにより、従前と同じクオリティの単行本を作ることは不可能になってしまうわけです。これが漫画文化の破壊でなくして何でありましょうか。
勿論、漫画家本人の意思によって流通する原稿もあるかと思いますが、それが作者本人の意思によるものならば仕方ないと思います。ただ、今回の流出原稿が漫画家の意思に背いたものであることは明確になってきています。
そこで問題となるのがまんだらけの対応です。渡辺先生の電話に対する対応にしても、その後の弘兼先生や川島(大島)先生への対応にしても、人を見て対応を変えているようで、漫画文化の担い手を自負する社長にしては、言っていることとやっていることが違っているように思えるのです。
漫画専門古書店として漫画文化の担い手を自負するならば、それなりの「誇り」と「矜持」もって対処していただけないか、つまり原稿の散逸だけは回避する方向に動いてはいただけないものかとお願いしたいのです。
もしも、ビジネスを優先し、法律を根拠とする正当性だけを述べ立てるのであれば、二度と漫画文化の担い手などと気取らないようにしていただきたい。できればそれを明確に宣言していただきたい。
というのが私の立場です。

長くなってしまいました。残りの部分は明日にします。