「エースをねらえ!」第5話

 もう話は全体の半分まできてしまったわけですが、早くも世界に飛躍ですか。
このドラマ、お蝶夫人の縦ロールやコーチの蜘蛛の巣柄浴衣(着物?)などの骨格部分は妙に忠実なので、見捨てることなくパロディとして楽しんでいるのですが、原作でもっとも大切にされている心の叫びの部分が表現しきれていないのが残念です。
今回の話で言えば、ひろみと藤堂が惹かれあっていることに気付いた宗方コーチが、ひろみをしごきながら叫ぶ心の慟哭が表現されなければならなかったと思うのですが、原作を知らない者にとっては宗方コーチの苦しみを慟哭とまで感じることはできないでしょう。
全9話という短期決戦だけに、原作の精神性まで描くのは困難なのかもしれません。
それから、ひろみの試合中の動きが良くなってきましたが、それと相まって得点を決められるシーンでの動きの不自然さが目立つようになりました。これは対戦相手にも言えることですが、実際のラリーを撮影して失敗したシーンだけを取り出して使ったほうが不自然さを感じさせなかったのではないでしょうか。
 漫画原作もののドラマとしては「ファイヤーボーイズ」もありますが、こちらは原作とは全く別物としてみるべきでしょう。
原作で描かれている主人公の特殊な能力は実写では表現できないものです。
漫画であればこそ、効果線とト書きの併せ技で表現できているのです。
それよりも問題は現場における消防士としての活動の映像化でしょう。
当然、専門家の監修が付いているのでしょうが、現場での行動や装備に問題がありすぎるように思います。
専門家の肩書きを持っていても、消防のシステムや火災メカニズムの専門家というだけでは正しい消防活動を描くことができません。
たいそうな肩書きは必要ないので、火災現場における消防士の活動を描くのであれば、現実に現場での消火活動に携わっている消防士に助言を求めるべきです。
これまで放送された回を見ても、かなり問題のある消火・救助活動を描いてしまっています。
せっかく消防側の全面協力を仰いでいるのですから、このチャンスを生かして最も危険に直面する職業である消防士の生き様を描いてもらいたいものです。