残念な結果に

昨日から続いていた長岡市妙見の県道崩落現場での救出活動は、本日午後0時20分に残されていた長女の死亡確認を持って終了しました。残念ながら遺体の搬出もかなわなかったようです。昨日死亡が確認された母親とともに死亡したのは事故発生直後と推定されており、そのような状況下に一人ぼっちで放り出された長男が92時間を生き延びたのは真の意味で奇跡と言えそうです。
さて、この崩落現場で救出活動に当たったのは東京消防庁ハイパーレスキュー長野市消防局、松本市消防局などのレスキュー隊だったわけですが、ネット上の一部のblogや日記で事故現場でのレスキュー隊員の活躍が目立って、自衛隊員の姿がないことに疑問を呈されていました。事件現場のような険しい地形の場所で救出活動を行なうのは、都市型災害現場に向いている消防のレスキューではなく、自衛隊がやるべきではないのか、とか自衛隊の活動は避難民のヘリ輸送などしか目に付かない、やっぱり頼れるのは消防や警察だという意見も見られます。これは自衛隊と消防レスキューの得手不得手というかプロフェッショナルな分野の違いといえると思います。
今回の崩落現場が地上からの接近が不可能で危険な地形であるというならば、自衛隊のレンジャー部隊がへりコプターからのロープ降下を行なうことになるのでしょうが、現場は足場は悪いものの地上からの接近が不可能ではありませんでした。また自動車が土砂に埋もれているとはいえ、ひしゃげたり潰れてしまった車体からの救出は、高速道路での玉突き事故の際にも見られるように、消防レスキューの方が経験・機材ともに充実しています。今回の現場は場所が特殊なだけであって、救出のシチュエーションは消防レスキューにこそ向いているものだったのです。もちろん消防レスキューには医師がいませんので、自衛隊医官が同行しました。彼らはそれぞれがプロとしての仕事をしているのです。
ヘリコプターによる輸送以外あまり目立っていないという自衛隊の活動については下記のリンク先をご覧ください。
防衛庁自衛隊のHP(お知らせ)
http://www.jda.go.jp/j/news/index.html

[27日11時現在]
※ 派遣規模(延べ)人員約9,800名、車両約1100両、航空機約200機
※ 輸送実績 食料:約47万食、毛布:約38,000枚
※ 救助実績 約1,360名
※ 給食実績 約83,000食

現在までは避難民の輸送を中心に食糧の輸送、給食活動を行なっています。

陸上自衛隊新潟県中越地震被災地域への災害派遣の状況
http://www.jda.go.jp/jgsdf/info/h16nz-index.html
こちらでは活動状況が写真によって紹介されています。
ビッグスワン新潟スタジアム)の巨大な駐車場に集結した炊事車両を使っての炊き出し。
食糧輸送・患者輸送。
給水支援・入浴支援。
など、自衛隊の所有する特殊車両を活用しての救援活動が続いています。

また、ヘリの着陸が困難な地形での救出に当たって、障害物の少ない橋の上で接地するかしないかの状態でホバリングを行ないながら住民を救出するという、日頃の厳しい訓練が想像できる機体操縦を行なっていた小松基地所属の航空救難隊のバートルの姿もありましたが、これなども自衛隊の技術がなければ困難な行動でした。

一番プロの仕事を感じさせなかったのは、昨日の日記にも書いたようにマスコミの取材陣だったのではないでしょうか。今年だけに限っても多くの災害取材を経験してきながら、一向に成長しない取材方法・倫理、インタビュー姿勢にはニュースを頼りにしながらも歯がゆさを感じてしまいます。行政の災害対策の甘さを叩くだけでなく、自らの取材方法・姿勢の見直しを忘れてしまってはならないと思います。