1リットルの涙(昨夜放送分)

遂に最終回を迎え、1話の中で時計の針が急速に進んでしまいました。亜也(沢尻エリカ)の病状もますます進んでしまい、いよいよ最後のときを迎えることになるのですが、演出はむやみに視聴者の涙をあおることなく淡々と亜也の死を描いていましたね。このドラマでは基本的に過剰演出を控えているようです。例外が亜也が高校を離れる時の同級生の歌による見送りと、最終回の1周忌の墓参りのシーンで墓を訪れようとする多すぎる人の姿でした。この二つのシーンだけが不自然で違和感を感じさせました。それ以外は非常にバランスのよいドラマだったのではないでしょうか。主役の沢尻の演技も発声障害の部分を除いて(セリフを聞かせるためには仕方ないでしょう)は脊髄小脳変性症の患者の症状を見事に演じていましたし、遥斗を演じた錦戸亮が発する言葉と流す涙の美しさも見事でした。秋ドラマの中では最もよく出来たドラマだったのではないでしょうか。
亜也と同じ病に苦しむ母とドラマを見ながら様々なことを話してきたのですが、母の病に対するポジティブなとらえ方には頭が下がります。ドラマを見てきた3ヶ月の間にも歩行の困難さはかなりのものになってきましたし、年賀状を書く手の震えも大きくなってきましたが、それでも年賀状は全て自筆で書いていました。幸い発声障害のほうはほとんど症状が見られません。嚥下障害は横ばい状態ですが、むせる時は大変苦しそうで見ていて辛いものがあります。食事の際にもむせることがちょくちょくありますが、嚥下障害によって食物が詰まった場合は処置が必要なので気を付けなければいけないと最終回を見ながら話し合いました。
水野医師(藤木直人)の言葉に「10年後、いや5年後であれば・・・」といった感じのものがありましたが、ドラマのモデルとなった木藤亜也さんが亡くなったのが昭和63年。それから15年以上を経た現在も、脊髄小脳変性症の効果的な治療法は確立されておらず残念です。木藤亜也さんは発症から10年で亡くなってしまいましたが、母は発症から7年、発症から10年以上を経た叔父たちも頑張っています。効果的な治療法の確立は間に合わないかと思いますが、皆で病と真正面に向かい合いながら頑張っていこうと思います。我々と脊髄小脳変性症との戦いはまだまだ続くのですから。