文春の全面勝利宣言は恥の上塗り

文春側の声明文の全文が手に入らないので、新聞記事を元にしてコメントするしかありませんが、記者会見で『記事の公共性が認められなかったことは残念』としながらも『われわれの全面勝利だ』と浮かれているようでは、『今回の記事が興味本位な作りだったのではないかという指摘にも真摯に耳を傾けたい』は単なるリップサービスになってしまうのは間違いなさそうです。
文春側の主張のうち記事の公益性、公共性は否定され、かろうじて表現の自由という憲法に関わる部分での高裁の判断によって、出版差し止め命令が取り消されただけで、これをもって全面勝利とするのは恥の上塗りにしかならないでしょう。
今回の記事についてはプライバシーの侵害であることが認定されてしまっているのですが、文春側は全面勝利を謳っていますので、自分たちが公益性も公共性も存在しない、プライバシーを侵害した記事を書いたことを肯定したに等しいのです。
勝利に酔うのは構いませんが、『表現の自由』という民主主義の根幹として最も尊重されなければならない権利を、崩壊の危機(文春側の表現)に追い込んだプライバシー無視の記事掲載基準を、しっかりと見直す機会にしてほしいものです。
無駄な願いかもしれませんけどね。