NANA −ナナー

ユナイテッドシネマのメンズデーを利用して「NANA −ナナー」を観てきました。
ちなみに原作は1冊も読んでいないさらの状態ですので、感想に誤解や勘違いがあったとしたら申し訳ありません。と事前に言い訳しておきます。
元々宮崎あおい目的で観にいったのですが、映画そのものは原作漫画に頼り切ることなく、ただ原作をしっかり尊重した作りをしているなあという印象を受けました。映画が始まっての最初の印象が「少女漫画のままじゃん」というもの。奈々(宮崎)の衣装の方がナナ(中島)のロック系衣装よりも現実世界からすると違和感ありありなのです。少女漫画で登場人物(特に主人公)が着せられる、現実的にはファッショナブルすぎる衣装がそのまま使われているのです。ナナのファッションの方が画面に自然に溶け込んでいるのには笑ってしまいました。ただ奈々はそのファッションも含めて奈々なわけでしょうから、これで間違っていないはずです。また、中島美嘉演じるナナが原作そのままということで話題になっていますが、モデルではないかと思われるくらい痩身の体形+プロの歌手という歌唱力は、たどたどしい台詞遣いが気にならないほどの存在感を見せてくれました。その彼女と並んでも同じようにスリムで美脚を見せてくれた奈々を演じた宮崎あおいも、演技の上手さは当然のこととして、さすが少女モデル出身のスタイルバランスでした。だからこそ現実離れしたファッショナブルな衣装が似合うのでしょう。
心配が的中したのはバンドメンバーの男性俳優陣です。これは少女漫画が原作の場合仕方のない話で、8頭身は当り前という美男子をキャストとして揃えるのは無理でしょう。演奏シーンはメロディーとヴォーカルに集中して聞くべきで、演奏技術に注目してしまうと少々厳しい見方にならざるをえないと思いますが、それを鬼の首を獲ったかのように突付いてみても得られるものはありません。「BECK」のアニメ版でもそうですが、音楽物の漫画を映像化する際の最大の壁が作品を離れて具象化されてしまう音でしょう。こればかりは読者それぞれの頭や胸の中に理想的な音が出来上がってしまっているので、それを超える音を提供することは不可能に近いのです。従って全ての読者を満足させる音作りというのは不可能で、映像として表現しているミュージシャンのイメージに適合し、さらに独立した曲として十分以上の質をもった曲を観客に披露するしかないのです。その意味では十分に観客を納得させることのできる楽曲を提供してくれたのではないでしょうか。ブラストのヴォーカルであるナナを演じた中島美嘉がはまり役といわれるのも、単に彼女が歌唱力のあるプロというだけでなく、多くの読者を納得させる歌を歌うことが出来たからではないでしょうか。私はトラネスのヴォーカルREINAを演じた伊藤由奈の歌う「ENDLESS STORY」の方が好みですが・・・。
今回のストーリーが原作のどのくらいまでを描いたのかはわかりませんが、ラストの締め方は良かったように思います。現代の若い女性がイメージする女友達のあり方の理想を描いたような作品でした。そこがヒットの理由なのではないでしょうか。
観客は平日の初回上映のためか全部で20人。男が私を含めて6人、女性2人、親子2人、男女のペア4組8人、女性の2人連れが1組2人でした。思った以上に観客層のバランスがよいのではないでしょうか。続編が決定したようですが、レベルを下げずによい作品に仕上がってほしいものですね。
movie『NANA』 photo making book