「売れるマンガ、記憶に残るマンガ」米沢嘉博著

売れるマンガ、記憶に残るマンガ

売れるマンガ、記憶に残るマンガ

昨年10月1日に肺癌にて死去された米沢嘉博氏(享年53歳)が「コミックフラッパー」にて1999年12月号から2006 年10月号まで連載していたマンガとマンガ業界を見つめた珠玉のコラム・米沢嘉博の現代マンガ時評が本となって発売されました。
特に10月号の現代マンガ時評は絶筆とも言えるものですが、現在のマンガ界に閉塞感を感じていた米沢氏の想いが行間から滲み出るコラムが多く、マンガ界の今後に厳しいものを感じさせる一方で、コミックマーケットについての話題を中心としたコラムには初めて知る情報も多く興味深い内容でした。コミックマーケットの代表としてだけでなくマンガ評論・研究家として残された著作も多く、日本のマンガ界にとってなくてはならない存在だっただけに氏の早逝は悔やまれてなりません。
ところでこの方を購入する際に一度は手にとった本をなぜか棚に戻してしまいました。手に取ってパラパラとページを捲っただけで内容の面白さを確信していたにもかかわらず、本を持ってレジに向かおうとしない自分にショックを覚えてしまいました。1365円という価格に躊躇したのですが、1500円程度のグラビア系ムック本の購入には躊躇することがないだけにショックでした。間違いなく今手に取っている本のほうが値段相応の価値を持っているのは分かっています。再び本を手に取った私はレジに足を向けたわけですが、本好きを自負していただけに自分自身を恥じるばかりでした。