生殺与奪の権利は編集者にあり

いつも記事を参考にさせていただいている「「羣青」終了について: 漫棚通信ブログ版」で紹介されていたのですが、モーニングツーで連載されていた中村珍氏の「羣青」の連載途中打ち切りと単行本発行見送りについて、中村氏自身がブログ記事「http://works.1525.boo.jp/?eid=1287368」で報告しています。今までこの日記でも取り上げてきた「漫画原稿流出事件」や「金色のガッシュ!!」の雷句誠氏と小学館との問題と同様に漫画界として大変大きな問題を孕んでいると思うのです。もちろん一方の話だけを鵜呑みにするわけにもいきませんが、編集者と漫画家との力関係、そしてその編集者ですら最終決定権を持っているわけではなく、編集者と漫画家との間の合意事項ですら編集長のひと言で翻されてしまうという実態など、現在のマンガ制作システム上の欠陥が具体的かつ赤裸々に明らかにされています。そして雑誌掲載時の原稿料ではカバーできない製作費を補うことのできる単行本の印税も、当然のことながら編集部が発行を決定権、言うならば漫画家の生殺与奪の権利を握っているというわけです。そして中村氏は実際に編集部に連載の打ち切りと単行本発行という生殺与奪の権利を行使されてしまったというわけです。中村氏のブログ記事は大変長く読みづらいものでもありますが、「マンガ原稿流出事件」や雷句誠氏と小学館との問題に興味を持ってウォッチしてきた者ならば必ず目を通すべき内容だと思いますし、世間的には無名に近い漫画家のことだからと流してしまえるような問題でもないと思います。ぜひ中村氏のブログ記事を読んでみてください。漫画製作現場でのアシスタントの人件費や漫画原稿の原稿料などが具体的に紹介されているので、それを知るだけでも意味があるでしょう。