元号が明治に変わり版籍奉還が進められ、急激に日本が近代国家に変わろうともがく中で、天璋院(宮崎あおい)は上京した母・お幸(樋口可南子)や兄・忠敬(岡田義徳)と再会を果たすなど、国のことを心配しながらも江戸時代の余韻に浸るかのような生活を送っていました。折々に挿入される回想シーンでは今は亡き人々がオールスターキャストで登場するという、最終回ならではの演出が心憎く感じられます。帯刀(瑛太)も病でその寿命の幕を閉じますが、病状悪化の知らせに薩摩から大阪へやって来たお近(ともさかりえ)にはお琴(原田夏希)は役者として貫禄負けでした。それにしても主要登場人物のほとんどが病気でこの世を去ることで、医療の遅れていた時代を象徴するドラマであったともいえましょう。おかげさまで皆、老年期のメイクをする必要がありませんでした。戦国時代を舞台にした大河ドラマの方が老人の登場人物が多かったような気さえしてしまいます。江戸へ戻ってきた静寛院(堀北真希)も32歳の若さで生涯の幕を閉じ、天璋院は49歳で家定(堺雅人)のもとへ召されることとなりました。叙事詩のようなファミリードラマもここに幕を閉じることとなったのです。