星海銀のセカンドライフ その14 お茶会

母親が亡くなり、職を辞して一番困ったのは会話がなくなってしまったことです。下手をすると一日全く口を開かないこともあります。これは精神的にもあまり良くない傾向です。もともと友人が多くなく人付き合いが苦手な上に、お酒も基本的には飲まないということで、新しく人と知り合うチャンスもありません。
そんな私にとって唯一の気の置けない会話の場は、週に何度か近くの喫茶店に仲間が集うお茶会です。20数年前に最寄りの駅前に店を構えていた古書店の店主と常連客が、店主の休憩もかねて近くの喫茶店でお茶を飲みながら他愛もない会話に興じたのが始まりですが、その後古書店が店を閉めてからもお茶会自体はなくなることなく継続しています。趣味を同じくする者たちが互いに気兼ねなく様々な話題で盛り上がり、新しい知識を補完し合うことは、精神的な安定にも役立つ場として欠かせない存在となっています。