原作の存在するドラマ・映画制作で留意すべきことについて ~芦原妃名子先生を悼んで~6

セクシー田中さん(6) (フラワーコミックスα)

先週末から連載スタイルで記事を書き続けている、テレビドラマ「セクシー田中さん」とその原作者の芦原妃名子先生との間のトラブルについて、最後に「セクシー田中さん」の掲載誌およびコミックスの発行元である小学館について触れようと思っていましたが、昨日とんでもない爆弾が投下されてしまいました。
昨日(2月7日)のことになりますが、小学館の内部で社員向けの説明会が開かれたました。

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社員宛てに説明会の概要をまとめたメールも、海老原高明専務取締役の名前で送信されたそうです。説明会の内容をかいつまんで紹介してみます。
『一連の「セクシー田中さん」問題に関しての経緯、小学館に寄稿する作者への小学館の姿勢、社員のケアの順で説明がなされており、一連の経緯については「『セクシー田中さん』の番組は、芦原先生のドラマ化に際しての要望を担当グループが日本テレビに伝え、制作、放映されました。担当グループは芦原先生に常に寄り添い、忠実に詳細に先方に伝え、対応しました。経緯をみると、昨春より担当グループは誠実に対応しています」』と報告されていますが、芦原先生のブログ(今は消されてしまっていますが魚拓あり)と読み比べてみれば矛盾していることは明らかです。

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小学館側は芦原さんの書き込み自体は否定していないどころか、「芦原先生の要望を担当グループが日本テレビに伝え、制作、放映されました。担当グループは芦原先生に常に寄り添い、忠実に詳細に先方に伝え、対応しました」としていますので芦原先生の書き込みにある事実については否定されていないので、芦原先生の要望が忠実に詳細に先方(日本テレビ)に伝えていたとするならば、今回のように毎回毎回改変された脚本が芦原先生の下に届くことなどあってはならないことですが、小学館の担当グループが芦原先生に常に寄り添った結果がこれであればあまりにお粗末でしょう。さらに原作がいまだ連載中で結末が定まっていないという芦原先生の心配・危惧に寄り添って、芦原先生の希望するようドラマなりの結末を設定する上で、芦原先生自身があらすじからセリフまで用意するので、原則的に変更は加えないでいただきたいとし、場合によっては芦原先生自身が脚本を執筆するという相当に無理な条件付けをしたうえでドラマ化を許可したということでした。
「芦原先生に常に寄り添い」という小学館側の説明を信じるならば、芦原先生の原作と脚本の不一致については、もっと声を大きくして日本テレビに抗議すべきだったでしょうが、説明会での説明内容のしらじらしさを考えると、抗議を行っていたのかさえ疑問に思います。そこで疑ってしまうのは、日本テレビ小学館の間に、芦原先生の要望に沿った形でのドラマ化に関する契約が存在していないのではないか、ということです。それでなければ日本テレビ側の行いは明らかな契約違反であり、小学館が芦原先生に代わって強く抗議しなければならないと思うのです。ところが、芦原先生の死に際してのの本テレビのコメントと、昨日の小学館の社内説明会の内容からはちゃんとした契約の存在が確認できる気がしません。誰が見ても言行不一致ではないでしょうか。もしちゃんとした契約内容が決められておらず、ここから原作者および脚本家への情報伝達という伝言ゲームが行われて、正しい情報が伝えられなかったことが悲劇を生んだということではないでしょうか。
次回はとりあえずのまとめとして、原作、そらまの両者が幸せに存在することが出来るようになるにはという前向きな提案を行えればよいと思います。