原作の存在するドラマ・映画制作で留意すべきことについて ~芦原妃名子先生を悼んで~1

セクシー田中さん【マイクロ】(1) (フラワーコミックスα)

日本テレビ制作の秋ドラマ「セクシー田中さん」の原作漫画家である芦原妃名子さんが先月29日に亡くなられていたことが確認されました。得難い才能を持ち、発揮されていた方を失うことになってしまいました。亡くなられた経緯があまりにも残念で、更なる連鎖があることを恐れて、私なりの見解をまとめてみることにしました。
芦原さんが亡くなられてから約1週間。主にネットで取り上げられたニュース、BLOG。YouTube動画をチェックしてみましたが、犯人捜し、誹謗中傷を中心としたものが多く、今回の出来事を教訓にして、前向きに前進を図ろうとするものが見当たらず、残念に思っています。
そこで不幸の連鎖を生まないためにも、今までに起こった事象を振り返ったうえで、今後の様々なことについて考えていきたいと思います。
まずは今までのことを出来るだけ時系列に沿って確認してみましょう。ネットにおける発言など削除されてしまっているものも多いですが、幸いなことにどれにも魚拓が存在しており、今も確認することが出来ます。
ドラマの1~8話までの脚本を担当した相沢友子氏が昨年12月24日、ドラマ最終回放送直後に自身のインスタグラムで言及しました。
『最後は脚本も書きたいという原作者たっての要望があり、過去に経験したことのない事態で困惑しましたが、残念ながら急きょ協力という形で携わることとなりました』
ほぼ1か月後の1月26日になって芦原さんが自身のツイッター(X)とブログで、ドラマの終盤9話、10話の脚本を自らが担当した経緯を明かしていました。

shirushiru.com

 現在は削除されている芦原妃名子さんのブログおよびX(旧ツイッター)の内容については上記リンクを参照していただけると、魚拓が保存されていますので一番間違いん倍と思います。
そして、現在唯一X(旧ツイッター)に残されている1月28日午後1時11分の書き込みを最後に行方不明となってしまったそうです。私がこの問題に気付いたのは、芦原さんがブログに今回のドラマについての経緯を書かれた翌日の27日のなってからのことで、脚本家さんの書き込みも含めてまずいなあと思っていたのですが、あまりにもその後の展開が早く、最悪のものになってしまったので残念でなりません。
脚本家さんの書き込みから、芦原さんのSNSでの反応まで1か月ありましたので、ネット上での様子を暫く見てみようと傍観を決めてしまったことを情けなく思います。そして次にこの件に触れたのは、芦原さんが亡くなってしまったというニュースでした。急転直下です。
警視庁によりますと、芦原さんに関して28日夜には会社の関係者などから行方不明届が出ていたそうですから、芦原さんの捜索についての初動はかなり早かったのではないかと思われます。おそらく遺書らしきものが残されていたことから、警察も緊急の案件として素早く反応し、何かしらのヒントがあって栃木県内に的を絞る形で捜索を行い、翌日には芦原さんを発見するに至るも間に合わなかったということで残念です。
もちろん脚本家の書き込みで心を痛めていたからこそ、ブログなどでの説明にいたったのでしょうが、その時点では芦原さんは自分の命を絶ってしまう考えなどは持っていなかったものと思われます。それでなければあんな丁寧な説明をするはずがありません。ただ、脚本家の発言の際にはそれほど燃え上がらなかったネットが、芦原さんの書き込みには自称「正義の怒り」を爆発させる連鎖が起こってしまったのです。
おそらく芦原さんはこのネットの過剰反応に恐れをなしてしまったのではないでしょうか。それがもの凄いストレスとなってしまい、ブログを閉じてⅩ(旧ツイッター)を消し、『攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい』という書き込みを残して逝ってしまわれたのでしょう。
その後は芦原さんのストレスの元になったであろうSNSの書き込みはさらに加速し、脚本家一般をも貶める脚色さえなされるようになってきています。YouTubeにあげられた動画のほとんども、同様の切り抜きと脚色にまみれた挑発的なサムネイルで視聴回数稼ぎに走っているのは情けなさ過ぎます。
私は今回の問題はドラマ制作に関わる全ての人の意思伝達の流れにあるものと考えます。ここの見直し無しに新たな漫画・小説原作のドラマ化は問題が起こるに違いないと思っていますので、今後はそこについて書いていきたいと思っています。つきましてはレギュラー的な記事として取り上げてきたspotifyの音楽レビューなどについてはしばらくお休みをいただき、このBLOGのメインであるNegicco関係の記事のみ更新し、芦原さんの件を短期集中的に取り上げていこうと思っています。