原作の存在するドラマ・映画制作で留意すべきことについて ~芦原妃名子先生を悼んで~5

セクシー田中さん(5) (フラワーコミックスα)

テレビドラマの制作にあたって実質的なヒエラルキーの頂点にあるのは、テレビ局内に組織されるドラマ制作委員会のチーフプロデューサーであり、そこに参加する制作会社が実働部隊として具体的な制作作業を行う形となります。「セクシー田中さん」の場合は日テレアックスオンが制作を担当していたのですが、この会社、ドラマ制作会社として今期は「となりのナースエイド」「新空港占拠」、秋ドラマでは「セクシー田中さん」の他に「ゼイチョー」を制作、さらには話題となり評価も高い「ブラッシュアップライフ」も制作するなど、大手の制作会社といっていいのではないでしょうか。
ただ、テレビドラマの制作にあたってはもう一つのヒエラルキーがあり、その頂点が主演クラスの出演者であり、芸能事務所なのです。ドラマ制作の一番のポイントになるのはあくまでもドラマの本体であるストーリーにあると思うのですが、テレビ局やスポンサーが最も気にする視聴率を持っているのが出演者であるといえる場合もあるのです。そこで先に出演者ありきということになって、ジャニーズドラマと揶揄されるようにジャニーズが主演することを前提としたドラマが、各クール毎に複数制作されてきました。しかし昨年のジャニーズ氏による性加害事もあり、件の発覚(というか顕在化ですよね)もあり、芸能事務所からのごり押しは少なくなってくると思います。
とはいえ、1クールにドラマが50本前後が制作されるという状況にあって、出演者のキャスティングが困難になってきています。せっかく、ドラマの企画が先行して、そのドラマにふさわしい出演者をキャスティングできる方向になりつつあるのに、芸能事務所に忖度したキャスティングに陥ることのないような意識が必要です。この意識ひとつで原作者とのトラブルは少なくなるに違いありません。そして原作者との意思の疎通は最も大切です。原作者の負担になるだろうと勝手に忖度することなく、必要なタイミングで制作委員会に同席してもらうなり、プロデューサーや脚本家と直接顔合わせするよう心掛けなければならないと考えます。
今回の悲しい出来事に関係したであろう組織や人物について述べてきましたが、次回はいよいよ芦原先生の漫画家人生に寄り添ってきたであろう小学館について述べようと思っていたのですが、今日(2月7日)になって小学館が社員を対象にした社内説明会を行ったという情報と、説明会の内容について東京スポーツが報じていました。

www.tokyo-sports.co.jp

ある意味予想通りの内容でしたが、それゆえにあまりにもありえないことであると思いましたので次回、詳しく述べてみたいと思います。