事件の本筋からは外れますが、守る会の掲示板にて編集者の知的権利について議論が交わされています。
漫画のストーリーやアイデアを、漫画家に代わって考えているような編集者の権利はどうなるのだろうということのようです。
これは基本的には編集者と、編集者の所属する出版社との間で取り決めるべき問題でしょう。
例えば、漫画家をタレント、編集者をタレントが所属するプロダクションから派遣されているマネージャーに置き換えて考えてみると、わかり易いかもしれません。
マネージャーの仕事はタレントのスケジュール管理から始まり、時には悩み相談を引き受けるまで多岐にわたりますが、その収入はあくまでもプロダクションから支払われる給与であり、タレントの売上に応じて変動する歩合給のような形にはなっていないでしょう。もちろん担当するタレントの成長が、マネージャーの力によるところ大ということになれば、会社での査定がアップし昇給につながるかもしれません。
でも、それはマネージャーとプロダクションの雇用関係以外の何ものでもありません。
また、昔のピンクレディのように振り付けに依頼する部分が大きなアイドルであっても、振付師は曲そのものに何の権利も持つものではないでしょう。
編集者にとって問題なのはマネージャーなどとは違い、作品作りに直接関与するような場合の知的権利なのだといわれるかもしれませんが、それならば、日本の企業に属する研究者の研究成果や特許などの知的権利ですら、田中さんのようなノーベル賞レベルの研究になって初めて企業から特別扱いしてもらえるのが現状です。
漫画のストーリーやアイデアを提供するなどして、その作品が大ヒットした場合、その売上利益は漫画家、出版社双方に与えられるのであって、その場合に出版社に所属する編集者が、自分の知的権利を主張して何らかの利益を得ようとするならば、その請求は当然所属する出版社に対して行われなければならないでしょう。
なぜならば漫画家へのストーリーやアイデアの提供は、編集者が所属する出版社の業務の一環として行われた行為なのですから。
それが嫌ならばフリーランスになって仕事をするしかありません。