漫画原稿流出事件

渡辺先生の日記(1月14日分)で裁判の進行状況について触れています。
http://www2.diary.ne.jp/user/117288/
裁判官が和解を提案してきたそうですが、現在のまんだらけの対応を考えると、最後まで戦われることになりそうです。
渡辺先生の場合は先に和解された弘兼先生とは違って、原稿はすべて売り払われてしまっています。
手元に戻ってきたものは、まんだらけで自ら購入した原稿(1作品)と、ネットオークションで売られているものを発見して(これが事件が表面化したきっかけ)、後に持ち主の好意によって返却されたもののみで、その他の原稿は全て行方不明となっています。
百歩譲って、渡辺先生がまんだらけに出向かれる以前に販売された原稿については、まんだらけに責任を問うことは出来ないかもしれませんが、まんだらけに出向いた先生が状況を説明した以降も販売を継続し、結果として原稿の散逸に至ってしまった責任は大きいでしょう。
レディースコミック誌は再録することが多く、手元に戻ったいくつかの原稿も既に再録されているようで、その意味でも先生がまんだらけ接触を持った時点以降の原稿の販売は、確実に漫画家としての渡辺先生の収入機会を喪失させ、損害を与えていることは明白です。
その意味でもこの事件はまんだらけの歩み寄りによってしか和解の方向性を見出すことはできないように思います。
漫画家の側にも苦言をひとつ。
以前に漫画家の知らぬうちに原稿が他の雑誌に再録され、もちろん本人には掲載料の支払いもなかったという話がありました。
これもさくら出版がらみだったと思いますが、現在も数多くのレディースコミック誌が発行されている実情を考えると、漫画家自身が自己防衛のために雑誌掲載作品のチェックをしなければならないでしょうし、無断での再掲載を避けるために、契約の整備がやはり早急に必要とされるのではないでしょうか。
また、雑誌掲載後の原稿の回収も、迅速かつ徹底的に実施する必要があるのではないでしょうか。
こればかりは漫画家の立場の弱さを理由に避けてばかりはいられないでしょう。
もし、これをおざなりにして今後また同様の事件が起こったとしたら、今回のような支持を受けることはないと覚悟して、出版社側との契約や原稿の受け渡しについての取り決めを早急に整備しなければなりません。
教訓は生かしてこそ意味があるのです。