安英学

昨年までアルビレックス新潟に所属し、今年からは名古屋グランパスエイトの所属選手となった彼ですが、今回のワールドカップ最終予選「日本vs北朝鮮」戦に、北朝鮮代表として招集されたことにより一躍時の人となってしまいました。試合は惜しくも日本2−1北朝鮮で負けてしまいましたが、各スポーツニュースでのインタビューや、10日の報道ステーション生出演での言動は、彼のサッカー選手としてのレベルだけでなく、人間としての存在感を深化させて見せてくれたような気がします。拉致問題に代表される北朝鮮の代表選手であり、日本生れの日本育ちという在日朝鮮人でもある彼はマスコミの注目の的となり、様々な場面でインタビューを受けることになったのですが、報道ステーションでの受け答えも含めて、その発言の真摯さと清々しさは見ているものの胸を打ったようです。ある意味で非常に重いものを背負っての選手生活でもあると思うのですが、その重さを真正面から受け止めて流すことなく自分の意志を素直に表現された言葉は、プロであるアナウンサーよりも遥かに実体感を伴った言葉として胸に染み入りました。
サッカー選手としての技術はもちろん大切なものですが、自分を表現する言葉を持たない選手も多いのが現実です。そんな中で自分を、そして自分を取り巻く環境を的確に表現することのできる安英学という選手は、Jリーグにとっても得がたいキャラクターなのかもしれません。