中学生時代はバス通学でしたので、放課後帰宅する際に繁華街を通り、当時は何軒かあった古書店と新亜Kん書店に立ち寄ってから帰るのが日課でした。使えるお小遣いに制限のあった私は、文庫であっても新刊を購入するのはハードルが高く、ほとんどの場合は古書店で購入して読んでいました。創元推理文庫のSFは以前から刊行されていたので古書店でもわりと手に入れやすかったのですが、早川文庫SFの場合は刊行が始まってから間もなくであり、古書店にはあまり出回っていなかったので、創元推理文庫は古書店で、早川文庫SFは新刊書店で購入するのが普通でした。ちなみに当時BOOKOFFは存在していませんでしたので、個人経営の古書店が市内に何店舗もありましたし、Amazonもなければインターネットも存在しませんでしたので、新刊書店は更にたくさん存在しました。
現在も発行されているSF専門誌「SFマガジン」に出会ったのはそんな中学生時代でしたが、掲載されている作品の作家はあまり知らない方が多く、また翻訳物が多いためにいささか読みにくく、定期購読には至りませんでした。
そしてこのころに早川文庫SFで刊行され始めた「宇宙英雄ローダン」シリーズとの出会いがあったのです。ドイツ(当時は西ドイツ)の複数のSF作家によるSFリレー小説という珍しい形をとったこのシリーズは、毎週刊行される雑誌スタイルで、第1巻刊行の1960年から半世紀以上経過した現在も刊行され続けていて、3千巻を超えるという世界最長の小説シリーズになっているのですが、このシリーズを読み始めたことにより、SFファンダムと同人誌の世界に足を踏み入れることになったのです。