私のオタク遍歴 その23 大学生時代編5

1980年発行 山口百恵 蒼い時 集英社単行本

大学2年生になるとキャンパスが変わり、神奈川県の生田から東京の神保町に通学先が移動しました。今まで小岩から総武線に乗って新宿で小田急線に乗り換え、向ヶ丘遊園駅で降りて通っていたものが、総武線1本で水道橋駅で降りて坂を下りるだけという半分の行程になったのです。おかげで書店での滞在時間が長くなりました。と、ここまででお分かりの通り大学のサークル等には入会しませんでした。大学の4年間は、サークル活動ではなく書店への入りびたりや、以前に紹介したキングレコードでのユーロロックファンクラブ活動といった私独自のオタ活にいそしんでいたのです。
キャンパスの所在地である神保町は私にとっても都合の良い場所でした。神保町は神田古書街のすぐ隣り町だったのです。大学の講義終了後は神田古書街とそこにある新刊書店の三省堂書店書泉グランデなどを徘徊してから、御茶ノ水駅で総武線に乗って小岩へ戻る毎日でした。
書店関係でいえば神田古書街の裏には中小の書籍取次卸業者があり、私は時折り大学の帰りに寄り道をして、その取次業者を回って売れ筋書籍の新作を漁って小岩の書店に持ち帰っていました。勿論、一般人は取次業者で書籍を購入することは出来ませんが、私は小岩の書店から書店印を預かっていたので購入が可能だったのです。小岩の書店は店舗面積も小さかったので、取引している取次業者さんが届けてくれる新刊書籍は、売れ筋に限って大手の書店に比べてあまり配本されることがなかったのです。ですから当時ベストセラーになっていた山口百恵の「蒼い時」は、店頭に並べば飛ぶように売れていたのですが、思うように入荷しなかったので、私が取次業者を回って在庫がある限り(持ち運べる限り)購入して帰っていたのです。結局トータルで200冊くらい購入した記憶があります。といっても利益にすると6万円弱でしかなかったのですが、小さな書店で入荷が無ければ得られなかった利益と考えたらおおきかったのではないでしょうか。