榛野なな恵さんの好評シリーズ久々の新刊です。
昨年はＮＨＫ教育テレビでドラマ化されていましたが、この漫画独特の都市型微変位ファンタジーとでもいえる世界は、残念ながら上手く表現できていないように思いました。
この漫画の世界は、フルカラーでもセピア色でもなく、透明度の高いパステルカラーに彩られた世界で、そこに登場する知世ちゃんと周辺の人々の心の中に、さざなみのごとく波立つ悩みが特別に強調されるわけでもなく、穏やかに癒されていくのを眺めているという感覚で読まされてしまいます。
大人びていた子供時代の自分が、頭の中に浮かべながらも言葉に出来ないでいた想いが言葉として紡がれていく様に、ページをめくりながら知世ちゃんに感情移入してしまいます。
