週刊文春謝罪広告の件

「★てれびまにあ。★〜日刊テレビブログ」で取り上げられていた件ですが、
http://d.hatena.ne.jp/tetsuto/20040825#p4
私も今週号の週刊文春を読みましたが酷いものです。

故賀川光夫別府大学名誉教授に対する謝罪文

週刊文春2001年1月25日号、同年2月1日号、同年3月15日号において昭和30年代に大分県聖獄洞穴遺跡から採取された石器が捏造であり、同遺跡の発掘調査の責任者であった賀川光夫別府大学名誉教授があたかもその捏造に関与した疑いがあると受け取られる一連の記事を掲載しましたが、これらの記事のうち、石器が捏造であること及び同教授がこの捏造に関与したことは事実ではありませんでした。

この記事により、故賀川光夫別府大学名誉教授の名誉を傷つけ、ご迷惑をおかけしたことをお詫びします。

株式会社文藝春秋 代表者代表取締役 上野徹 週刊文春前編集長 木俣正剛 取材記者 河崎貴一

賀川トシコ様 賀川洋様 賀川真様

上記は最高裁の判決に従って週刊文春の目次に載せられた謝罪文ですが、同じ号の本文にこの謝罪文の9倍(3P)のスペースを取って反論記事を掲載しています。
内容は最高裁の判決に逆ギレした感の強いもので、裁判所による謝罪広告掲載の命令は、先進国では日本にしか見られないもので承服できないというものです。
つまり、目次に掲載した謝罪文はイヤイヤ掲出したもので、悪かったとはこれっぽっちも思っていないということです。
言い換えるならば、自殺した賀川教授の遺族に対して「最高裁の命令だから仕方なく従って謝罪文は掲載したけれども、俺達はちっとも悪くないんだ。間違った判断をした裁判所が悪いんだし、謝罪広告の掲載を強制するなんて先進国にあるまじき野蛮な決定だから、悪いけど謝罪文には心はこもってないよ。」ってことですよね。
以前の出版差し止め事件の際、週刊文春は表現・出版の自由をぶち上げて、その正当性を示すために、応援原稿という形で識者と呼ばれる人たちに「プライバシーの侵害や名誉毀損は雑誌が出版された後にも裁判によって回復されることが出来るのだから、出版差し止めは絶対にしてはいけない」というような発言をしてもらって記事にしていましたが、今回の件を見る限りは、週刊文春については出版差し止めにする以外に、プライバシーの侵害や名誉毀損による損害を回復することは不可能なようです。
少なくとも今後、週刊文春は記事中に「被害者の気持ちを考えると」という言葉の使用を放棄したと見なすべきではないでしょうか。